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2017年08月20日

会社が潰れる時その4) 社長は雲隠れ、説明会では怒号が!

会社が潰れる時その4) 社長は雲隠れ、説明会では怒号が!

全社員に対して本社に出社するよう指示があった。
その日、本社に出社するが誰も仕事が手に着かず、会社についての噂話しで持ち切りだ。
普段は9時ギリギリに出社してくる者も、この日ばかりは早く来た。
小嶋を除いて・・・
小嶋はMHKの朝の連続テレビ小説見たさに、今日も遅刻してきた。
「長生きするよ」と言うと、「そうかな?」とニヤニヤしながら答えた。

俺はてっきり全社集会があって社長から説明があるのだと思っていた。
しかし、各課ごと個別にミーティングがありその中で会社についての状態や今後の話があった。
なんでも、社長は会社に来ていないらしい・・・

まず、課長から「会社は潰れます」と未来形で話があった。
この時点で入社1年目の社員は何人か泣いていた。
1年目社員は情報も中々来ないし、全員初めて聞いたようだ。
何故潰れるのか、何時潰れるのか聞いたのだが、ちゃんとした回答は得られない。

次に、「社長が自分の友人の会社を探してきたので、希望する者は全員その会社で引き受けて貰える」
「今日の夜に行われる説明会に出席するように」
と一方的に通達された。
どうやら、次の会社では今の従業員と今の仕事をごっそり手にしたいようなのだ。

でも、俺は今の仕事をこのまま続ける気はなかった。
それが顔に出ていたらしい。
「織田も必ず出席するように」
「出席しません」と言うと、その場ではそれ以上何も言わなかった。
他の者も「出席しない」と言う事を恐れていたようだった。

ミーティングが終わるとこの日の説明会に参加するかどうかの話ばかりになり、誰も仕事をしていなかった。
俺はチーム1年目社員の相談にのった後、定時まで黙々と仕事をした。
すると、課長が来て「説明会に出席するように」と強い口調で言ってくる。
そんな事されると余計に行く気が無くなってしまう事に気がつかないようだ。
自分の部下が揃って来ないと困るのだろうか?

勿論、私は説明会に参加しなかった。

遅いな~、まだかよ!
説明会が始まる時間を過ぎているが、皆を引き受ける会社の社長 須田はまだ来ない。
「俺たちの事、どうでもいいんじゃないか?」
「でも、それだったら説明会なんてしないだろ」

須田は30分程遅れて到着し、受け入れ条件などをにこやかに説明した。
「賃金は今までと同じです」
「手当は我が社の規定になるので、実家から通っている方は住宅手当5000円は出ません」
そこまでは多くの者が仕方ないと思っていた。
「賞与は新入社員と同じ扱いなので、夏の賞与は出ません」
そして、ダメを押したのはこの一言だった
「前の会社の退職金は出ません。理由は積立金不足だからです」

とうとう、火ぶたが切られてしまった。
「住宅ローンが有るので、賞与も退職金も無いと生活が成り立たない!」
「退職金が出ないなんてオカシイ!」
「俺たちは何も悪い事していないじゃないか」
最初は社長秘書の山本が応対していたのでが、今朝会社が潰れると聞いたばかりで心に余裕が無い者も多かった。
すんなり引き下がらない。
小嶋も自動車ローンや駐車場代で7~8万払っているので、賞与や退職金が無ければそれが払えない。

すると須田が大きな声で怒鳴った。
「いいかい、あんたらの会社は潰れたんだよ」
「直ぐに仕事があるだけでもマシじゃないか!」
熱血漢の大野が「潰れたら自分の意見や要望を言っては行けないのか!」と怒鳴ると、須田も負けずに「条件が気に入らなければ、好きな所に行けばいい!」と怒鳴る。
その後も最後まで同じような会話が続いた。

翌日、出社すると周りは説明会の話題ばかりなので、聴く気が無くても耳に入って来る。
一方的に次の会社の条件などが説明されたらしく、しかも今よりも条件が悪いらしい。

私は当初の考え通り、別の会社を探す事に決めている。
結局多くの者は次の会社へ行く事になった。
小嶋や大野も須田の会社に行き、一部の者は2年前の退職した菰田が始めた会社へ行くようだ。
全社員300名弱だったが、会社に残る事を決めた者は私を含めたった3名。

しかし、まだ会社は潰れていないし事業譲渡もされていない。
途中までしかできないと判っている仕事だが、黙々と作業した。

結局、正式な事業譲渡は無かった。
事業譲渡すると有利子負債を引き継がなくてはならないからだろうか?
翌週、会社は潰れず移転する事になった。
会社が潰れてしまうと不良債権になるのを危惧した銀行が倒産させないと噂があったが真実は分からない。
今のビルは須田の会社がそのまま利用するので、社長、役員2名に一般社員3名の計6名となった我が社は新宿から荻窪へ引っ越しした。

会社が潰れる前提だし出社も週休4日で仕事はあまりないので、自動車教習所にも通い始める。
しかし、役員の一人は唯一残った技術者の俺に期待しているようだ。
次は半導体を冷却する商品を売って儲けようとしきりに誘ってくる。
実はその販売契約は須田の会社には譲渡しなかったのだ。
実際に俺もこの役員と一緒にアキバのパソコンショップへ行ったのだが、売れそうな感じはしなかった。
何しろ金額が20万と高すぎて、コストパフォーマンスを考えたらあり得ない。
この役員はパソコンが詳しくないので、希望的観測で考えているようだ。

このままだとズルズルして辞めにくくなりそうだ。
仕事としては面白そうな仕事なのだが、ビジネスとして成功すると思えなかったので私は辞表を出した。

その5に続く


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この記事へのコメント
こう言う事は、日本全国どこでもあったでしょうね。
そうゆう経験がないのでドラマの世界みたいです。
Posted by 山猿山猿 at 2017年08月21日 10:27
山猿さん、こんにちは♪

私は早い段階で我道を進む決心をしましたが迷っていた方は大変だったと思います。
もう大きな不況が来なければ良いのですが!
Posted by GianGian at 2017年08月21日 10:43

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会社が潰れる時その4) 社長は雲隠れ、説明会では怒号が!